コーン
 コーン


 キツネの声はまだ止まない。


 その声を追って、毬は南大門の方へと足を進める。



 キツネは、門の外にちょこんと座っていた。

 尻尾が八つ又であることを除けば、まあ、どこにでもいそうな可愛い動物だ。


 毬は門の内側で口を開いた。


「私のこと呼びました?」

「龍星の想い人に興味があってな」

 その声は初老のように貫禄がある。