「龍?」

 毬は雰囲気の違いに身体を起こした。
 怯えた声に、龍星は我に返って苦笑すると、毬のために用意していた解毒剤の残りをごくりと一息に飲み干した。



 苦みが喉を通り体にしみこむとほどなくして、すうと、たぎっていた欲望が落ち着いていく。


「何でもない。さすがに少し……疲れた、かな」


 龍星は倒れこむように、寝具の中へと崩れていった。