砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

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「毬」


 遠くで名前が呼ばれている。


……とても好きな声。


 毬はそう思う。
 でも、誰の声だか思い出せない。


「毬」


 それは引く心地よい声で、呼ばれるだけで自分の名前がより素敵なものに思えるから不思議だ。


「毬、俺のこと分かる?」


 優しく温かい声。


……うん、大好きよ。


 そう伝えたいのに、唇に力が入らない。