砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 ぽろぽろと、毬の頬を涙が流れていく。
 雅之はそっとそれを指で拭いてやる。

「そう、ごめんね。
 結構そういうの見えるほうなんだけど。今回は全然」

「そういうのって、ねぇ。
 龍!人じゃないの?」

 龍星はようやく向けられた視線に切なそうに頷いた。

「あれはね、死んだことに気付かなかった子供の霊なんだ」

「嘘っ」

 毬が感情的に声を上げようとするのを、龍星が封じる。

「本当だよ。実在する人を呪で消すことは出来ない」

 そっと毬に近づいて、その頭を撫でた。
 壊れ物でも扱うように、そおっと。

「だから、毬が本名を名乗ってなくて本当によかった。
 名乗っていたら、連れて行かれたかもしれない」

 毬はそこでようやく事態に気付いて、青ざめた。