砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「龍星」

 思考と後悔の海に溺れそうになった龍星を救ったのは、雅之の声だった。

 龍星は呼吸と思考を整え呪を唱えた。

 空気が揺れ、邪気は去り、徐々に毬の体温が戻ってくる。

 どれくらいの時間そうしていただろう。
 龍星の腕の中で、すっと毬が目を開けた。

 弾かれたように目を見開くがその身体は抱き寄せられていて身動きできない。

「龍、あの、私……ごめ」

 戸惑い、驚き謝ろうとする毬の唇に、そっと指を置いて黙らせると龍星は優しい声で囁いた。

「毬は悪くない。謝る必要はない」