砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 龍星は何も答えず毬の小さな手を掴み、たまらず胸に抱き寄せた。



 薄い呼吸。
 低い体温。
 遅い脈拍。


 小さな身体で。
 小さな手で。

 どれほどの人を心配し、どれほどの人を救う?
 屈託の無い笑顔で。
 深く広いその心で。




「毬」

 龍星はたまらず耳元で愛しい人の名を呼んだ。
 もちろん、反応は無い。


 折角、彼女がその手を、心を、全てを自分に向けてくれたのに。
 
 ……そのとき、俺は何をした?


 龍星は毬の髪に顔を埋める。
 その頬を、思いがけず涙が伝った。