砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「行けばいいよ、龍星。
 きっと急ぎの用だ。

 私はあの子ととことん縁が無いに違いない」

 自嘲的に帝が言った。

 無言で立ち上がる龍星の背中に、帝が言う。

「でも、今度手を放したら絶対に私が攫うから」

 龍星が、いつもと変わらぬ颯爽とした冷静な顔で振り向いた。

「残念ですが、二度とその機会はないですよ」

 言うと、雅之とともに足早にそこを去っていく。



「そう?
 でも、これでせめて対等に扱ってくれるよね?」

 帝の言葉は誰の耳にも届かぬまま、宙に霧散した。