砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 言えない言葉を胸の奥に飲み込んで、少しだけその力を緩める。

「毬、頼むから。 
 もう少し良い子にして」

 その言葉に、毬はぷくと頬を膨らませる。

「悪い子じゃないもんっ」

「毬っ」

 龍星は思わず、叱責するように声をあげた。

 びくん、と、毬が小さな身体を震わせる。

「龍星」

 後ろで雅之の声がした。
 帝が……おそらく面白がって……雅之も行くように唆したのだ。

 龍星は毬から手を離して立ち上がる。
 感情の全てを内に押し込めて、慣れたはずの無表情を作り

「後は頼む」

 と、雅之に声を掛けてそこから出て行った。