しかも(これはいつものことだが)自分が名前を呼ばれるときのイントネーションがおかしいことに気付いた。
自分は夢乃、姫、という姓と名にわかれており、夢乃姫という名前ではない。
まるで、自分がどこかの国の夢乃家のお姫さまのような言い方にはいつまで経っても聞き慣れない。
「夢乃姫さ、最近授業サボること多いよね」
そういう伽新羅を無視してやろうかとも思ったが、それではあまりにも冷たいと思い、聞き慣れない自分の名前のイントネーションを訂正させることにした。
「夢乃姫じゃない。私は、夢乃 姫だ」
あえて強調させて姓と名の間に間を入れてみた。
しかし、あまり人と会話をしたことがないためか、ついぶっきらぼうな物言いになってしまった。

