「あれ、もしかして夢乃姫?」


ガリッと飴を噛んだ時、一人の男にそう声をかけられた。


その男は長めの黒髪を後ろで一つに結んで目にかかるくらいの前髪を左に分けて右耳にだけピアスがあいていた。


「………」


何も言わずに怪訝そうに相手を睨むように見つめると、その男は苦笑しながら話しだした。


「そんな顔しないでよ。俺は伽新羅律。よろしくね」


初対面のくせに馴々しく、そのくせいかにもチャラチャラしていて遊んでいるような面影の伽新羅に夢乃はさらに厳しい視線を送る。