さすがの夢乃も「あっそう」とは言えなかった。 自分のせいで他人に風邪を引かせたくなかったからだ。 だから、仕方なく妥協することにした。 「わかった。傘入るから、ちゃんとさして」 夢乃がそう言うと、遊磨は嬉しそうに笑って閉じかけていた傘を完全に開いて半分に夢乃を入れた。 夢乃の左側に遊磨がいる。 なぜか無性に左肩がかゆくなった。