伽新羅はもちろん驚いている。 しかし、その理由は夢乃が腕を振り払ったからではない。 夢乃の身体が小刻みに震えていて、尚も肩で息をしていたからだ。 うつむいて歯を食い縛る夢乃の瞳から一粒の涙がこぼれ落ちた。 夢乃は勢い良くその場から走り去った。 伽新羅はただ茫然と夢乃の後を目で追うだけだった。