『そんなものって僕は何も持ってはいないじゃないか。』
『ふっふふ、引っ掛からなかったか残念』
ケタケタと明るい音をたてて笑う。
『気を付けなよ、言葉はナイフより鋭く数字より難解で君より単純だ。取り込まれるな、そこは危ない。』
『…お前は誰だ?』
『えげつないただの作詞家気取りです。』
馬の頭の上で頬杖をつきそう言う。
『ただの作詞家がえげつないはずないだろ』
『ふっふふ面白いねえしかめっ面の少年。言葉を、よく知っている。』
『何なんだお前は。』
作詞家気取りは人差し指でフェンスの淡い光を数えるように追う。
『星を追っているのだよ。』
『ホシを?』
『そ。ホシは知っているかい?大きな瞳の少年。』
『知っているさ。叶わないと知りつつ願いをかける石ころだろう?』
作詞家気取りは上下に動かしていたその指を止め僕の額を思い切りつついた。
『ばかだね、そんなわけないだろう。拾った言葉には興味ないよ。』
眉間にシワを寄せ額をさする僕を飽きれた様な顔で見る。
『は…?』
『"ホシ"なんて言葉遊びだ。すなわち、人生は言葉遊びだ。』
『は…?』
またケタケタと笑う。
