その様を見てやっと気づく。
あれは僕のためにあったのではない と。
夜が支配した世界を 支配したのは闇だった。

行く先を失った闇の飾り達は 漆黒を切り裂きながら 地へと流れ落ちて行く。
涙にも見えたそれはそっと足元に舞い降りた。
あるべき場所を失ったそれらが何故だか寂しそうに思えた。
誰が為に在った幾億の瞬きは今 夢の旅路を終えたのだ。
さ迷うことさえ許されない。

夜の水鏡に落ちていたそれを掬う。
きらきらと僕の手に乗るそれは 少し大きすぎた。
ほんのりと熱を持つそれをリュックに入れて夜空で笑うあいつを背に みちない道へと歩き出した。

重い重い 色の中を切って進む。
孤独すらわからないこの色は 何に悲しみを覚えるのだろうか。

さわさわ揺らぐ大樹の下で 年老いた影と会う。