『ホシの名前を知っているか。』
『知っている、知っているけど知らないよ。』
『何故だ。』
『姿だって色々ある。ならば呼び名がいくつあったっていいだろう?どうせ変わりやしないんだから。』
『そういうものなのか?』
『そういうものさ。当たり前に願うだけでは叶わないんだよ。』
ゆっくりと馬の頭を撫でる。
『終着点に行くのなんて何よりも難しいんだ。』
『死ぬことか?』
『いいや、やめることさ。』
作詞家は小さく笑い、それを投げ僕に返す。
『それより、』
『こんな所で遊んでていいのかい、か?』
『ん。よくわかったねえ。』
『お前の事だ、わかるさ。』
『ふふっ。で、どうするんだい少年よ。』
その言葉に小さくため息をついて見せた。
『長い一夜だ。付き合うさ。』
誰が為に在った幾億の瞬きは今
鮮やかな夢の途中。
『君が消えない。』
