『怒れるはずがないだろう。僕だって見えないことはきっと怖い。』
『ふぅん。』
『消えるなんて考えたこともなかった。』
『でも良かったじゃないか。』
『?』
僕の手からそれを1つ取りにんまりと笑いながら眺める。
『随分と持ちやすくなったじゃないか。』
その瞳には幾つもの光が映っている。
ああ。そうか。
通りで見覚えがあると思ったら、それは、
歩き始める前の
『あいつだったのか…。』
呟いた僕の言葉が聞こえたのか、作詞家は片目を閉じて見せた。
『どうやら、色々なものに出会ってきたようだね。』
『会わない方が不思議だ。』
ふと、作詞家は空を見上げる。
つられて僕も空を見る。
浮かぶあいつは相変わらず僕のすぐそばに。
『最後に、聞いていいか?』
『おや、最後はもう使ったじゃないか。』
『それこそお前が得意な遊びじゃないか。』
『ふっふふ、相も変わらないね。何だろうか?』
