星の軌跡



『ハッ…まァいい。こんだけ光ってりゃ金になんだろ。』
きらきらと光るそれを宙に投げてまた乱暴に手で取る。
『返せよ。』
『断る。こんなもん今時滅多に見ねえから高ァく売れるぜ?』
『滅多に見ないって、そこらじゅうに落ちてるじゃないか。わざわざ僕のをとる必要はないだろう。』
その言葉を聞いて、夜盗はまた顔をしかめ辺りを見回す。
『てめえ…あんまり俺をからかうんじゃねえ。何処にあるって言うんだよ。』
そう言うと夜盗は僕のシャツに掴みかかる。
『何処って、そこの階段の所のもその猫が抱えて寝ているのもあの煙突の所に引っ掛かってるのもそうじゃないか。』
夜盗はシャツを掴んだまま顔を上げ、階段・猫・煙突を順々に見る。
顰めっ面だった顔は何故か今は悲しそうにも見える。
煙突を見上げたまま、夜盗は何かを呟いた。

『……やっ……りか…』
『…え?』
そして震えながら握りしめる手の中を見つめる。
『…ねえよ。俺には見えねえよ。何でてめえに見えて俺には見えねえんだよ!』