私が、望の前から
消えてしまえばいい。
そうすれば、嫌でも望を
忘れられるかもしれない。
そう思って、無我夢中で走っていた。
気がついたときには、遅かった。
「ブーッ」と警笛の音が、聞こえて…


「…あっ!」


目の前に大きなトラックがいた。
それを避けるために、
ガードレールから
飛び出した。


そうだ。ここは山の上だった。
しかも今ガケの上を飛んだ。
(落ちる…死んだな、こりゃ。)


頭の中が真っ白になった。