「…今、西暦何年ですか?」
マチさんは、深刻そうな
顔をして、俺に聞いた。
「2012年だけど。」
「2012年!?そんな馬鹿な…。
だって今年は1945年じゃないですか!
まさか…ここは未来ですか…?」
マチさんは、今何と言った?
“1945年”と言わなかっただろうか。
「1945年…それって、丁度
太平洋戦争の終戦の年だわ。」
歴史に詳しい玲奈が、言うのだ。
間違いない。
「すると…マチさんは過去から
来たということか?」
「私にも、わからないですが…
そうとしか考えられないですよね。」
言われてみれば、確かにマチさんが
昭和時代から来ても、納得できる
点が、いくつかあった。
携帯電話を知らないところ、
東京が賑やかでないというところ、
それに…マチさんの服装や
“マチ”という名前。
「望さんが持っていた無線電話も、
おかしいと思ったんです。
そんな発達した機能を持つ電話
なんて普及していないですし、
服装や持っているものも、なんとなく
昭和時代から、かけ離れたような
ものばかりで…。」
しばらく、みんな沈黙で
黙っていた。


