「おばさんの母親は、今
 何歳ですか?」
「今は85歳よ。」
「名前は何ですか?」
「え?川島シズよ。それがどうかしたの?」


川島シズという言葉に
誰よりも反応したのは、マチさんだった。


「シズ…私の2つ上の姉の名前と
 おんなじです…。」
「なんだって!?」


ということは、シズさんの妹が
マチという名前になれば、
間違いない。


「おばさん、シズさんに妹は
 いませんでしたか?!」
「妹?一人いたわね。…そういえば
 川島マチっていうみたいだけど。
 マチと名前が一緒ね…偶然かしら。
 そういえば、私どうして、マチ
 なんて名前つけたのかしら。」


間違いはなかった。
川島マチは、玲奈の親族に
存在した。


「今、川島マチさんに
 会えませんか!?」
「母の妹は、とっくの昔に
 亡くなったのよ。戦争で。」
「え?」


俺よりも、マチさんが
聞きたくなかった
であろう言葉が返ってきた。
マチさんは、固まっている。