やっとの思いで、再び
学校に着いた。
昼休みも、終わり、五時間目の
授業に突入する時間だった。


「もー、マチどこ行ってたの?」
「セーラー服じゃない。
 着替えたんだ。」


一気に、マチさんに話しかける
クラスメイト。マチさんに
とってみたら、
全くの他人なのだから、
どう接すればいいのか、
わからずに、戸惑っていた。


「マチさん、適当に相槌
 打っていればいいよ。」
「は、はい。」


マチさんにしか、聞こえないくらいの
声で、そう言った。


「あ、先生来た。」
「ほらー、席つけー。」


俺は、マチさんに、玲奈の席を
案内して、机の引き出しに入っている
ノートを取り出した。


「あの、黒板に書かれたことだけを
 ノートに取ってくれればいいから。」
「ありがとうございます。」
「あと、学校ではクラスメイトや
 俺たちには、敬語はやめよう。
 幼馴染の俺にまで敬語を使ってたら、
 変に思われるから。」
「あ、そうですね…じゃなくて
 そうだね。」
「…あはは、ぎこちないなあ。」


俺とマチさんは、顔を見合わせて
くすくすと笑った。
なんだか、敬語じゃなくなると、
壁がひとつなくなった感じだ。
少し、マチさんに近づいた。
そんな気がした。