セピア色の境界線




電話をしている最中に
雑音が入った。
段々と、玲奈の声が
薄れていく。


「望、もう電話が駄目みたい。」
「やっぱり時代が違うからか?」
「そうだと思う。寧ろ、時代が
 違うのに、繋がったのが奇跡だわ。」
「ちょっと、待って」
「ごめん。なんとかお互い帰れる
 方法を見つけよう。」


玲奈との電話は、そこで
途絶えてしまった。


「玲奈が、この時代から
 消えたから、みんなから
 玲奈の存在が消えたんだな。」


悟が、悲しそうな表情で言った。
悟は玲奈が好きだから
複雑な気持ちなのだろう。


「どうして、こんなことに
 なったんでしょうか。」
「それは誰にもわからない。
 けれど、何か意味があって
 二人は時代が入れ変わったと
 思う。無意味なことはないよ。」
「そうですね。」



玲奈がいなくなった今、
俺たちも、ここでマチさんを元の
世界に返す方法を見つけなくては。