それから、クラスメイト全員に
玲奈のことを聞いたが、誰ひとり
知らないと答えた。

これは流石に俺も困る。
どうすればいいのか。
みんなの中に、玲奈という
一人の人間の存在が
消えているのだ。
しかし、玲奈はきっとどこかで
生きている。

それに、みんなは忘れていても
俺たち3人は、玲奈のことを
はっきり覚えている。

どうしようもなくなって
途方に暮れて
あの裏庭で俺たちは、
休んでいた。


「まさか…玲奈さんも
 私のように、どこかの
 時代へ飛ばされたんじゃ…」
「そんなことあるはずないさ。」


しかし、俺も心当たりがあった。
昨日の夕方から玲奈は
いなくなって、今日になったら
友人や家族から、玲奈の存在は
消されていた。
そしてマチさんが、玲奈に
置き換えられていた。
そして写真に写っているはずの
玲奈も、写っていない。
玲奈が、平成時代ではないところへ
飛ばされたとしたら、この時代には
玲奈という存在が、
一時消えることになる。

しかし、何故俺たちだけは
玲奈のことをはっきり
覚えているのだろう。