「母さん!」
勢いよく家のドアを開けて
飛び込むように、入った。
「何よ、急に。あんた学校は?」
「今はそれどころじゃない!
母さんは覚えているだろう!
玲奈のことを!」
「玲奈?誰それ。芸能人?」
同じだ。俺の母も、玲奈のことを
綺麗さっぱり忘れている。
「おい、望。玲奈の
写真を見せてみるのはどうだ。」
「あ、そうだな。携帯に
写真が入ってるし。」
悟に言われた通り、俺は
携帯の中に入っている
写真を見せた。
昨日4人で遊園地に行ったときに
撮った写真だ。
「ここに写ってるのが
玲奈です。」
「え?望と悟くんとマチちゃん
しか写ってないじゃない。」
「そんなはずは…写ってない。」
昨日は、確かに4人で撮った。
そのあとに写真を見たけれど、
はっきりと玲奈も写っていた。
何故、この写真からも玲奈が
消えてしまったのか。
玲奈は、姿も存在も消えてしまった。
「望、こうなったら学校の
クラスメイトに聞くぞ。
玲奈と仲良かった友達に。」
「ああ、そうだな。」
「私も行きます!」
俺たちは、学校に向かっていった。


