四人とも観覧車に
乗り終わって、帰り道の
途中だ。
観覧車の中で、俺はマチさんと
様々な話ができた。
マチさんは、優しくて
可愛い。まさに乙女という字が
似合っている。

今、俺の中で気になる女性の中で
圧倒的に、マチさんが一番。
といいつつも、実は二番目以降は
いないのだけれど。


「ねえ、望。話があるの。」
「玲奈、どうしうた急に。」


玲奈が真剣な顔で
そう言ってきた。
まさか、マチさんが帰る方法でも
見つかったのだろうか。


「わりい、俺今日このあと
 急にバイト入ったから
 先帰るわ!じゃあな!」
「え?お、おう!」


しかも突然、悟が帰ると
言いだした。
怪しすぎじゃないだろうか。


「あの、私お邪魔でしたら」
「いいのよ。マチさん。ここにいて。」
「あ、そうですか…。」


そう言うと玲奈は俺の目を
じっと見つめてきた。
(なんなんだ、この空気は。
 俺、なんか怒られるのかな。)


「望、私は望のことが好き。」
「…え?」
「友達としてじゃなくて、男として
 ずっと前から好きだったの。」
「今日ってエイプリルフールだっけ?」
「馬鹿!違うわよ!」


こんな冗談も通じるわけなく、
俺はやはり、玲奈に本気で
告白されたようだ。
しかもマチさんが見ている
目の前で。


「返事は…?」
「え…あの、その…。」


今どうしようか悩んでいる
ときに、浮かび上がったのは
マチさんだった。
俺は知らない間に、やはり
マチさんを意識していたらしい。


「ごめん!」


頭を下げて俺は玲奈に
謝った。


「いいの。顔あげてよ、望。」
「…うん。」
「やーね。こんな空気にする
 つもりじゃなかったのよ。」


玲奈がうつむきながら
話している。


「玲奈さん、泣いてる…。
 望さん、玲奈さんを
 泣かしちゃだめですよ。」


マチさんがこの空気を
なんとかするためなのか
知らないが、俺に話を
振ってきた。
マチさんの思っている通りに
何か冗談を言おうとした。
しかし…


「あんたは黙っててよ!」


真っ先に叫んで
空気を更に重くしたのは
玲奈だった。