セピア色の境界線



一方、玲奈と悟は
気まずい状況であった。
いや、一方的に玲奈が
不機嫌なのだ。


「なんなのよ。
 望の馬鹿。」
「まあまあ怒んなよ。」
「だって、望は絶対に
 マチさんと行きたい
 だけなのよ!」
「そりゃあそうかもしれないけど…」
「じゃあ私なんか最初から
 いなくたって良かったじゃない。」


悟は、玲奈を見て思った。
これは嫉妬しているのだ。
本当は、玲奈が一番
望と一緒にいたいはずだ。
悟も玲奈のことを
想っているのだが、玲奈が
悟の気持ちに気付かない。


「ねえ、悟。」
「…ん?」


ふいに玲奈から名前を
呼ばれた悟は、少し顔を
赤くした。


「望って、マチさんのこと
 好きだよね。」
「え? ああ。まあ普通に
 友達みたいに親しいし。」
「そうじゃないわよ。望は
 女としてマチさんを
 好きなんでしょ?」


玲奈が少し泣きそうな
顔で言うから、悟も
悲しい気持ちになった。


「わからないけど、
 そうなんじゃねえの?」
「…そうよね。」


わざと否定しなかった。
望の気持ちは、はっきり
聞いていないから、わからないが
今は玲奈にそう言いたかった。
悟は、自分で悪い奴だと
思っていても、言ってしまった。