誰も来ない3階の踊り場。
静かな空間に響くのは。
蝉の鳴き声と、
廊下で走り回る男子の声だけ。
「・・・・あたし・・知っちゃったの・・・。」
静かな緊迫感を破ったのは加藤さんだった。
「・・・うん。知ってる。」
その言葉がなんのことだか分かった私は、
ただ静かにそう答えた。
加藤さんのほうは見れなかったけど。
顔をいきよいよくこっちに向けたみたいだから、
驚いたんだと思う。
「・・・聞こえてたから。」
私はそう呟いた。
「そっか。
・・・ごめんね?」
謝られても何て言っていいかわからなくて。
少し首を振る。
「こんなときに悪いんだけど・・・」
加藤さんは言葉を続ける。
「あたしも・・・・・広が好きなんだ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・え?
今まで俯いてた私は、加藤さんのほうを見た。
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