「なにがごめんねなの?」


私を抱き寄せたまま、明良が呟く。

明良の声が振動でも伝わり、安心感を覚えた。



「私の勘違いで、8時からデートだと思ってて。

勝手に怒ったちゃったし。」


明良の胸の中で呟くと、明良は私の髪を撫でた。




「じゃあ、今からデートでもするか。」


「え?大丈夫なの?」



顔を上げた私に微笑んだ明良は、答える変わりに私の手をそっと握った。




「美愛よりも優先しなきゃいけないことなんてないよ。」




後でそう呟かれたけど。