ありえない・・・。


どうやら今日はついてないらしい。

雨が降ってきた。


周りは小走りになるけれど、私はゆっくり歩く。


今日は花火中止かな、なんてふと思ってみた。





明良が浮気をすることはないと思うけど。

女の人といて、しかもデートを忘れてたなんて。


ショックすぎて、涙も出ない。



というより、実感がもてないのかもしれない。








・・・・・・でも。

他の人に行っちゃうくらい、私に魅力がないってことでもあるよね。








「はぁ。」

周りに気付かれない程度に小さく溜め息をついた。









「美愛っ。」

その声と同時にガシッと掴まれた左腕。



「きゃっ。」

「あぁ、ごめん。」



パッと手を離すと、下を向いて黙ってしまった。





少しの沈黙。


私は素直な気持ちを言ってみようと思った。





「いきなり怒鳴ってごめんね?」




その言葉がくると思ってなかったのか、目を丸くした明良が顔を上げた。