「うぇ~!パパ~!」


病室の外では、拓海の泣き声が聞こえてる。


「…うっ…たく、み……」


拓海のところに行こうとするけど、足が動かない。


翠の側を離れたくない。


だけど……。




“行ってあげて。拓海が泣いてる”



「……ぇ?」


今、翠が俺に話しかけてきた気がした。


「…みど、り?」



“拓海を守ってあげられるのは…あなたしか居ないの…私は、もう大丈夫だよ”

“もう…辛くない。何にも…大丈夫だから。…だから裕也、もう泣かないで?涙がもったいないよ”



翠が、俺の背中を押した気がした。



…俺は、そっと翠の頬を撫でた。


「…翠…」



そっと病室を出た。