「…翠…凄く、頑張った…グスッ…いっぱい生きてくれたよ?……ッ…だから、もう…休ませてあげない?」


七恵さんに、そう言われても…俺は、翠の側から離れなかった。



「…分かって、ます…グスッ…だけど…もう少し…もう少しだけで…いいんです……翠の側に…居たいんで、す…」


俺は、涙声で言った。


「…お母さん、二人きりにしてあげましょう?」


先生が、優しく…七恵さんの背中を押した。先生の目にも涙が浮かんでいた。


七恵さんと、先生は…静かに病室を出ていった。



俺は、声を押し殺して泣いた。


涙がとめどなく溢れてくる。



目を覚まさなくてもいい。

話してくれなくてもいい。

笑ってくれなくてもいい。




ただ…側に居てくれるだけでいいんだ。


明日も…明後日も…ずっとずっと、ここに居て。


ずっとずっと、俺の側に居て。