雨あがりの空に

「…翠!?」

「……クッ…ハァ、ハァ…ゆう…や?」

「…聞こえるのか?俺の声が聞こえるんだな…」

「…クッ…ハァ、ハァッ…ゆう、や…ごめんね?」

「…そんなこと…クッ…ッ…言うなよ…」

「……ゆう、や……ハァ…ハァ…いっぱ、い…迷惑…かけて…ごめん、ね?」


「…グスッ…そんな、ことない……」


ポタッポタッと涙が零れる。


「……クッ…ハァハァ…ゥッ…裕也……泣かない、で?…」


そっと、翠の細い腕が伸びで、翠の温かい手のひらが俺の頬を包む。


「……ッ…裕也…私、どこも…痛くない、し…何にも、辛くないよ…?……だか、ら泣かないで?…笑って?」


「……うっうっ…翠ぃ…死ぬなよ…生きろよ…もっともっと、何年も生きて…俺と、拓海と…一緒に…ヒック…グスッ…」


「……裕也、私は…死なないよ…私は、裕也…の、心の中で…ずっと、ずっと…生きているよ…」


「……俺、ダセェけど…うっ…翠が居ないと…無理、なん、だよ…」


「……裕也…そ、ら見て?…ハァハァ…」


翠は、窓の外に広がる空を見上げた。


「……あっ……」


さっきまで、雨が降っていたのに……晴れた。


雨あがりの空は、どこまでも青く澄み渡っていた。


「……クッ…ゥッ…晴れた、ね?」

翠は、青空を見上げながら、今にも消えてしまいそうな小さなか細い声で言った。