一願

昨日の電話では、二時過ぎから貸切にしておくと言っていた。
ちょうどいい時間だなと、渡辺は今日の予定を頭の中で組み立てつつ、昨夜の電話で聞いたことを、もう一つ思い出した。


あの男も。
今日は店先にいるかもしれないと。
そんなことを言っていたな。


大丈夫だろうかと、それが少しだけ気に掛かった。
朱夏に悪い影響がなければいいのだがと、それが気に掛かった。

あの青年とともにいる男だ。心配するようなことはないのだろうと思うが、それでも、その存在が少しだけ気にかかった。

いつから、住みついていたのか。
数年前より、センの自宅兼店舗となっているあのカフェの二階に、居ついている男が一人いた。
店に姿を見せることは滅多にないが、ときおり、センが一人で切り盛りするには大変な人数の客が入ると、下に下りてきて手伝うこともあった。