そんな朱夏を、初めてカフェに連れて行ったのは、所用で外出した日の夕刻だった。
車窓から見えた黄色をベースとした屋根瓦に白壁という可愛らしい外装の建物に、珍しく車酔いしなかった朱夏が目を輝かせて興味を持った。
あれはカフェと言うものでご飯を食べるお店ですよと話し聞かせると、朱夏はさらに興味を持ったようだった。
‐いつか、連れて行って
縋るような目でそうねだられては、朱夏に甘い渡辺には嫌とはいえなかった。
判りましたと答えたその日の帰り。
久しぶりの外出で、さぞかし朱夏は疲れたことだろうと思っていたら、思いがけず体調が良く元気の良さそうな様子を見せていた。
カフェの前で車のスピードを落とし、店内の様子を覗いてみると、客らしい人影がなかったこともあり、渡辺は車を止めさせて、朱夏をカフェに連れて行った。
‐中にセンという男がいます
‐この店の主です
‐目を合わせないよう、気をつけてください
車の中で、何度も渡辺はそう朱夏に言い置き、朱夏は外に出られる嬉しさから、明るい表情で何度も大きく頷いて、渡辺に早くお店に入りたいとねだった。
車窓から見えた黄色をベースとした屋根瓦に白壁という可愛らしい外装の建物に、珍しく車酔いしなかった朱夏が目を輝かせて興味を持った。
あれはカフェと言うものでご飯を食べるお店ですよと話し聞かせると、朱夏はさらに興味を持ったようだった。
‐いつか、連れて行って
縋るような目でそうねだられては、朱夏に甘い渡辺には嫌とはいえなかった。
判りましたと答えたその日の帰り。
久しぶりの外出で、さぞかし朱夏は疲れたことだろうと思っていたら、思いがけず体調が良く元気の良さそうな様子を見せていた。
カフェの前で車のスピードを落とし、店内の様子を覗いてみると、客らしい人影がなかったこともあり、渡辺は車を止めさせて、朱夏をカフェに連れて行った。
‐中にセンという男がいます
‐この店の主です
‐目を合わせないよう、気をつけてください
車の中で、何度も渡辺はそう朱夏に言い置き、朱夏は外に出られる嬉しさから、明るい表情で何度も大きく頷いて、渡辺に早くお店に入りたいとねだった。


