「夢、ですか?」
「うん。なんか、とっても幸せな夢だったような気がする。沢山、笑っていたかも」
覚えてないけど。だから涙が出たのかも。
そう続いた言葉に、渡辺はそうですかと笑った。嫌な夢を見たわけではないらしい。それが判れば十分だった。
「ねえ。渡辺」
「はい」
「今日は、少しだけ庭に出てもいい?」
遠慮がちにねだるその声に、渡辺の目元が綻ぶ。朱夏が自らこんなことを言い出すということは、それだけ体調が良いという証だった。それが渡辺にも嬉しく、朱夏の前では牙の抜けた番犬と言われるほど緩む表情が、いっそう穏やかに緩んでいた。
「では、テラスに朝食の用意をさせましょう」
微笑みながらの渡辺の言葉に、朱夏は嬉しいと手を叩いた。
「食べ終わったら、庭を散歩してもいい?」
「ええ。今日は客もありませんから、午後になったらカフェに行きましょう」
「カフェ?」
なんのことだろうと首を傾げる朱夏に、やはり忘れられているなと察した渡辺は、プリンを食べに行きましょうと、言葉を変えて朱夏に伝えた。
「うん。なんか、とっても幸せな夢だったような気がする。沢山、笑っていたかも」
覚えてないけど。だから涙が出たのかも。
そう続いた言葉に、渡辺はそうですかと笑った。嫌な夢を見たわけではないらしい。それが判れば十分だった。
「ねえ。渡辺」
「はい」
「今日は、少しだけ庭に出てもいい?」
遠慮がちにねだるその声に、渡辺の目元が綻ぶ。朱夏が自らこんなことを言い出すということは、それだけ体調が良いという証だった。それが渡辺にも嬉しく、朱夏の前では牙の抜けた番犬と言われるほど緩む表情が、いっそう穏やかに緩んでいた。
「では、テラスに朝食の用意をさせましょう」
微笑みながらの渡辺の言葉に、朱夏は嬉しいと手を叩いた。
「食べ終わったら、庭を散歩してもいい?」
「ええ。今日は客もありませんから、午後になったらカフェに行きましょう」
「カフェ?」
なんのことだろうと首を傾げる朱夏に、やはり忘れられているなと察した渡辺は、プリンを食べに行きましょうと、言葉を変えて朱夏に伝えた。


