まだ幾分眠そうな様子で、目を擦りながら半身を起こした朱夏の元に歩み寄った渡辺は、その肩に薄手のカーディガンを掛けた。
もうすでに夏と呼ぶべき季節になっているが、それでも朱夏にとっては朝晩は肌寒いものらしい。
薄手とはいえ、長袖のカーディガンは、四季を通して朱夏には必要なアイテムだった。
もうすぐ十七才になるとは思えない、細く薄い体だった。身の丈も子どものように小さいままだ。
その細く長い首ならば、大人であれば片手で縊り殺すことができそうだった。
その朱夏の目元に、うっすらと残る涙の跡に気づいた渡辺は、どうしたのだろうと訝しがった。
「朱夏さま。どうかされましたか?」
「なにが?」
「涙のあとがあるようですが?」
渡辺の少し骨ばった大きな手が、朱夏の眦を拭う。
涙?
なんだろう?
朱夏は首を傾げて考え込み、そういえば何か夢を見たかもと、呟くような小さな声で答えた。
もうすでに夏と呼ぶべき季節になっているが、それでも朱夏にとっては朝晩は肌寒いものらしい。
薄手とはいえ、長袖のカーディガンは、四季を通して朱夏には必要なアイテムだった。
もうすぐ十七才になるとは思えない、細く薄い体だった。身の丈も子どものように小さいままだ。
その細く長い首ならば、大人であれば片手で縊り殺すことができそうだった。
その朱夏の目元に、うっすらと残る涙の跡に気づいた渡辺は、どうしたのだろうと訝しがった。
「朱夏さま。どうかされましたか?」
「なにが?」
「涙のあとがあるようですが?」
渡辺の少し骨ばった大きな手が、朱夏の眦を拭う。
涙?
なんだろう?
朱夏は首を傾げて考え込み、そういえば何か夢を見たかもと、呟くような小さな声で答えた。


