人の気配などは全くない。そこにある気配といえば、獣か物の怪の類しかいないであろう山の奥。
霊木となりつつある大きな木の根元で、その赤子は泣いていた。
人の子特有の匂いに誘われて、鼻の利くモノは木の周りに集まり始め、その赤子を喰らいたいモノたちが、己が力を誇示し競い合い始めた。
そうやって、最後に残った勝者の餌になる。
そう定められてしまった、小さくか弱い赤子だった。
木の上から、たいした興味もなく、争うモノたちを眺めていた青嵐は、ふとした気まぐれを起こして赤子の元に下り立った。
生まれて落ちて間もないであろうその赤子は、健やかに育てば美しい娘になることを確信させる、そんな顔立ちをしていた。
まだ目など見えるはずもないであろうに、何故か、青嵐が側に立ったとたん、その泣き声を止めて、まるで青嵐を凝視するように見つめて。
笑った。
嬉しそうに、小さなその手を懸命に振って。
まるで自分を抱き上げてくれとでも言っているように、青嵐に笑いかけた。
人の子などに興味を持ったことはない。
青嵐にとっても、人は餌だ。
それ以外のなんでもない。
けれど。
笑うその顔に。
伸ばされる腕に。
青嵐は、気が付くとその赤子を抱き上げていた。
腕に抱き、その顔を見つめていた。
霊木となりつつある大きな木の根元で、その赤子は泣いていた。
人の子特有の匂いに誘われて、鼻の利くモノは木の周りに集まり始め、その赤子を喰らいたいモノたちが、己が力を誇示し競い合い始めた。
そうやって、最後に残った勝者の餌になる。
そう定められてしまった、小さくか弱い赤子だった。
木の上から、たいした興味もなく、争うモノたちを眺めていた青嵐は、ふとした気まぐれを起こして赤子の元に下り立った。
生まれて落ちて間もないであろうその赤子は、健やかに育てば美しい娘になることを確信させる、そんな顔立ちをしていた。
まだ目など見えるはずもないであろうに、何故か、青嵐が側に立ったとたん、その泣き声を止めて、まるで青嵐を凝視するように見つめて。
笑った。
嬉しそうに、小さなその手を懸命に振って。
まるで自分を抱き上げてくれとでも言っているように、青嵐に笑いかけた。
人の子などに興味を持ったことはない。
青嵐にとっても、人は餌だ。
それ以外のなんでもない。
けれど。
笑うその顔に。
伸ばされる腕に。
青嵐は、気が付くとその赤子を抱き上げていた。
腕に抱き、その顔を見つめていた。


