「どうしたの?」 『別に、なにも…』 「嘘。」 『………っ』 「俺には言えないこと?」 『……』 「俺は、杏璃の考えてることが知りたい。 今、すごく傷付いた顔してる」 大したことじゃない。 ゆづに、移った香水の匂いが嫌だから、早くお風呂に入ってきて?と言えばいいだけの話だ。 ここまで彼に心配されるような内容じゃないのに。 あたしの醜い嫉妬心なんて、気付いていないフリしてほっとけばいいのに。 残酷なくらい…優しいゆづ。