なるべくゆづから離れようと、キッチンに向かう。 『グラタン、今温めるから、ちょっと待っててね』 「………」 平然を装っているつもりなのに、ゆづにはバレバレなのか険しい顔であたしから視線をそらさない。 俯いて、上げられない視線。 たんたんとオーブンにグラタンをいれる。 「杏璃」 『な、に…?』 上手く喋れないし、顔も見れない。チラッと視界に入れたゆづの綺麗な顔は、歪んでいた。