でもそんなことも言ってられない。 早く帰りたいから、杏璃のいる家に。 あぁ見えて極度の寂しがりやだから、きっと今も寂しがってる。 意を決してエントランスに向かう。 車が見えたところで少しはや歩きになる。 「キャーっ!」 「ユツキ~!」 「カッコいい!」 「サインくださぁい~」 建物から出た瞬間に、聞こえる耳障りな声援。 取り囲もうとする大勢の女。 囲まれる前に走り出した。