「どこ?」


「ここです」




「あー」



先生は、私が握っていたシャーペンをヒョイっと取り、「この前授業でやったトコ」と言って、ペシッと私のおでこを小突いた。




それから、「ここは…」と丁寧に説明を始める。








先生の長い指先が、私のシャーペンを握っている。




――あの、シャーペンになりたい。





そして、プリントの余白に並べられた数字や記号。

先生のあの指で書くものなら、それでさえなりたいと願ってしまう。