「先生…」



私の声に、ふと目線だけこっちに向けた。


「できた?」


「いえ…」


「わかんないの?」


「はい…」




ギーっという音を立てながら椅子を立ち、こっちに一歩近づいてくる。
ペタンペタンとサンダルを引きずる足音。



4歩目で私の傍まで来ると、左手は椅子にかけ、右手は机の端に置いた。





それから顔を下げて、私の手元にあるプリントを覗きこむ。






ドクンドクンドクン





顔を向けなくても、気配ですぐそこに先生の顔があるってことがわかる距離。
先生からフワッとタバコの匂いがする。