「航生っ!おはよっ!」

「おはよ・・・」

そういって彼は私を抱きしめた。

「航生?」


なんかあったのかな?

「どーしたの?」


「絶対俺から離れんなよ」

「なんかあったの?」

「なんもねーよ」


彼は私を離した。

「今日俺んち来ないか?」

「えっ?」

「ってか来い」

まさかの命令!?
ホントにどーしたの?

「私はいーんだけど
 いきなり行っても大丈夫?」

「今日、親いねーから」


「そっか・・・。
 ホントにいーの?」

「いいの」

「じゃあ行くよ!」

「なら、さっそく行きますか」


そういって彼は
私の手を引いて歩き出した。

「はっ?航生、学校は?」

「今日はさぼる」

振り向かずに彼は答えた。

「ねぇ、どこ行くの?」

「・・・」

「航生!?」


すると彼は振り向いて言った。

『誰もいない場所』

って。


彼の目はあまりにも不安そうで
私は黙って彼についていった。