未熟な恋人




ホテルの係の女性が小さく頷いて、目の前にある重厚な扉を開けてくれた。

次の瞬間、明るい照明が私達を照らす。

割れんばかりの拍手と冷やかしの声。

一瞬、まぶしくて目を閉じた。

「奥さん、行くぞ」

見上げると、私を愛しげに見つめる暁の瞳が私を包み込んでくれた。

ゆっくりと一歩前に踏み出して、二人そろってお辞儀をして。

そっと顔を上げると、そこには、今まで私達を見守り心配してくれた人たちの顔が見える。

こうして私と暁が結婚までたどり着けるなんて、奇跡なのかもしれない。

私たちと同じような、悲しい思いを味わった恋人同士がみんな、こうして結婚できるとは限らない。

悲しい時間から抜け出せずに、愛する人とも別れて、感情をなくしたままで長い時間を過ごす人も多いかもしれない。