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『伊織の悲しみも苦しみも、そしてこれからの楽しい人生も。全部分け合って生きていこう』
暁がそう言って、私の左手薬指にダイヤの指輪をはめてくれたのは、あの書店で再会してから二年後。
幸せになる事に抵抗を覚えていた私の心をゆっくりと解きほぐしながら、少しずつ結婚への想いを高めていってくれた。
ふとした瞬間に、天国に行った赤ちゃんの事を思い出しては涙する私をぎゅっと抱きしめてくれた。
笑う事に罪悪を覚える毎日なのに、そんな私の隣で穏やかな表情で手を握ってくれた。
暁だって、私と同じだけの、つらい過去を背負っているのに。
徐々に解凍されていった私の冷たい心に、暁の優しさが充満したと同時のプロポーズに、私はようやく笑顔になれて、頷いた。
幸せになっても、いいよね?
それまでも何度も見つめた暁のデビューCDのジャケットを見ながら、そう問いかけた。
ピンクのグラデーションの中にある白いハートが、私を許してくれるように小さく揺れた気がして、涙がこぼれた。
そして、CDをぎゅっと抱きしめた。

