未熟な恋人



「いや、ちが……」

「違わないの。あの時……事故の時、私は確かに骨折をして重傷だった。
でも、産婦人科の先生は私の妊娠がわかった時に、まだ私の体は未熟だから、ストレスやアクシデントに赤ちゃんが耐えられないかもしれないって、そう言っていて……。
今なら、私の体全体で赤ちゃんを守れたのかもしれないの」

「それは、そうかもしれないけど、まだ安定期にも入ってない時期に、交通事故にあったんだ、赤ちゃんが死んでしまうのはどうしようもなかったんだ」

暁は言葉を荒げて、私の肩を揺さぶった。

その声音には、どう聞き取っても悲しみと苦しみが溢れていて、まるで、
『どうしようもなかった』と自分自身に言い聞かせているようだ。

口にする言葉とは違う、暁の気持ちが伝わった。

「大切な命、赤ちゃんを……守れるほど大人になってなかったのに、妊娠を安易に考えて、周りに甘えて。
結局周りみんなを悲しませて。
暁が留学するから、一緒にいられなくなる事に寂しさとストレスも感じてたから、赤ちゃんの生命力を弱らせてたのかもしれないし、私の体が未熟で、交通事故の衝撃から赤ちゃんを守るまでに成長してなかったのかもしれない」

「伊織、いい加減にしてくれ。赤ちゃんが死んだのは、お前のせいじゃない、交通事故にあったんだから仕方ない」