母さんが恐る恐るという声音で、
『伊織は……娘の体は大丈夫なんでしょうか』
私の肩に手を置きながら真剣な瞳で、女医さんにそう尋ねていた。
私の体は大丈夫、そう安易に考えていた私は、心配のしすぎだよ、と笑っていたけれど、女医さんは淡々とした声で
『妊娠、出産に耐えられるだけの成長はしているとは思いますが、やはり若いので、未熟な部分も多いんです。成熟した女性なら耐えられるストレスやアクシデントにも、耐えられない場合があります。
良い出産を迎えられるように、本人も周囲も、気配りをお願いしますね』
私と母さんにそう告げた。
大丈夫だよ、元気だもん。
心の中で肩を竦めて、妊娠というものをなめてしまった私は、その時の女医さんの言葉を思い出すこともなく、ただ嬉しさだけに浸っていた。
その後、高校には暁と両親と一緒に出向いて話をした。
卒業間近という事と、結婚するという二人の意思に免じて処分はなかった。
ただ、他の生徒への影響を考えて、口外はしないという条件が付けられたのは、仕方がなかった。

