私の妊娠がわかったのは、卒業を一か月後に控えた頃。
年明けすぐにその兆候があった私は母親と一緒に産婦人科へ行った。
『7週目ですね』
向かい合って座る女医さんからの心配そうな視線が意味する『産めるの?』という言葉を言外から感じた私は、無意識に
『産みます』
と、噛みしめるように呟いた。
大好きな暁の赤ちゃんが私の体に宿って、体の奥から溢れてくる喜びは半端なものではなかった。
私の隣に立ち、そんな私の言葉に息をのんだ母さんの事なんて気にする余裕もないまま、ただただ有頂天になった。
留学してしまう暁の帰りを、暁の分身と一緒に待つ事ができると思った私は、我慢していた寂しさを紛らわせる事ができる存在がお腹にいるとわかって、嬉しさ以外には何も感じられなかった。
『伊織……あなた、大丈夫?』
心配そうな声で私の顔を覗き込んだ母さんは、さすがに18歳の私の妊娠にいい顔はしなかった。
それは、高校生の女の子の母親なら当たり前の反応だ。
ううん、もっと荒い言葉で叱られても仕方がないのに、それを我慢して、私の体の事だけを心配してくれた母さんは、きっと、その事実に押しつぶされそうな気持ちを抑えながら私を見ていたと思う。

