CDの表面を優しく撫でる暁の指先は震えていて、その振動が私にも伝わってくる。
高校時代、滅多に自分の弱さやもろさを出さなかった暁の様子を目の当たりにして、暁の赤ちゃんを、ちゃんと生んであげられなかった事に罪悪にも似た思いを抱いて申し訳なくなってしまう。
私が交通事故にあった後、入院中の私が暁との面会を頑なに拒んだ理由は、その申し訳なさが大きな理由だった。
高校生で、まだまだ未熟だった私が妊娠した時、同じ高校生だった暁が受けた驚きは尋常じゃなかったはず。
周囲からの批判にも似た言葉に傷つく事も少なくなかった。
両親ががっかりしている様子だって私達にはつらいもので、私達二人は世間から切り離された孤独にも似た気持ちを抱いた。
けれど、暁は私が赤ちゃんを産む事になんの迷いも見せなかった。
『俺の赤ちゃんを伊織が産んでくれるなんて嬉しいに決まってる』
きっと不安でいっぱいだったはずなのに、そんな素振りは少しも見せなかった暁だった。
そんな暁の思いを、私は砕いてしまった。
赤ちゃんを守れなかった私は、暁に顔向けできないと心を閉ざしてしまって、暁との面会をことごとく拒んだ。

