未熟な恋人



高校時代、その文章が、暁の気持ちをも惹きつけたと聞いて、自分と同じ感覚で同じ小説を楽しめる人が身近にいると知った私はとても嬉しかった事を覚えている。

その作家さんの作品は、決して明るい作風ではなくて、はっきりとハッピーエンドで終わる話は少なかった。

結末を曖昧に濁したまま、読者にその先を想像させるような完結の仕方に、高校生の私も暁も惹きつけられ、はまってしまった。

そして、当時二人が一番気に入っていた小説の一文が書店の店頭に並ぶ本の紹介文として、大きく書かれていて。

それは、高校時代の私達……私達二人が犯してしまった悲しい過ちを思い出させた。

二人の赤ちゃんを死なせてしまったという、過ち。

運命の流れが、私と暁をその小説の前で引き合わせて、そして、忘れてはいけない過ちに再び向かい合うように、書籍は積まれていたのかと、苦しくなった。

暁がその書籍の前で顔を歪め、茫然と立っている姿を目にした時、その苦しみを、私だけではなく海外にいた暁も抱えていたんだと、すぐに気付いた。